建設現場の労働死亡災害の要因と対策 1
建設現場の労働死亡災害の要因と対策 1
工事現場で起こる労働災害の種類と発生状況
この章では、工事現場で起こる労働災害の種類と発生状況について解説します。工事現場での労働災害は、建設業に従事する方々の命や健康に大きな影響を及ぼし、工事現場での労働災害の原因や傾向を知ることで、労働災害の防止に役立てることができます。
①三大災害
三大災害とは、建設機械による事故、墜落・転落による事故、崩壊・倒壊による事故のことです。 これらの事故は、工事現場での労働災害の中でも特に多く発生し、重大な死傷事故につながりやすいため、三大災害と呼ばれています。
三大災害の発生原因は、様々な要因が複雑に絡み合っていますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
- 建設機械による事故
- 機械の操作ミスや故障
- 機械の保守不良や点検不足
- 機械の適切な配置や確認の不備
- 機械の周囲の安全確保の不十分さ
- 墜落・転落による事故
- 足場やはしごの設置不良や破損
- 足場やはしごの使用方法の誤り
- 落下防止具の着用不足
- 崩壊・倒壊による事故
- 土木工事の施工不良や計画不備
- 地盤の強度や地震の影響の見落とし
- 建物や構造物の老朽化や劣化
- 建物や構造物の解体作業の安全対策の不十分さ
三大災害は、工事現場での労働災害の中でも最も危険なものです。三大災害の発生原因を理解し、予防策を講じることが重要です。
②建設業における労働災害の発生状況(過去10年)
年度 | 死傷者数(建設業) | 死亡者数(建設業) |
---|---|---|
令和4年 | 14,926 | 281 |
令和3年 | 16,079 | 288 |
令和2年 | 14,790 | 256 |
令和元年 | 14,977 | 258 |
平成31年 | 15,183 | 269 |
平成30年 | 15,374 | 309 |
平成29年 | 15,129 | 323 |
平成28年 | 15,058 | 294 |
平成27年 | 15,584 | 327 |
平成26年 | 17,184 | 377 |
https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/statistics/occupational_accidents.html
③三大災害が起こりやすい時期や時間帯
三大災害が起こりやすい時期や時間帯は、以下のようになっています。
建設現場における事故発生の多い時期
建設現場での事故は、特に8月、10月、12月、2月に多く発生します。
これらの時期に事故が増える主な理由は以下のとおりです。
・8月・・・高温による熱中症など
・10月・・・急激な気温変化
・12月・・・冬の寒さと年末の忙しさ
・2月・・・年度末の業務の急増
建設業務は屋外で行われることが多く、気候の変動に大きく影響されます。さらに、年末や年度末の納期に追われることで、急いで作業を行うことが事故の一因となることが考えられます。
建設現場における事故発生の多い時間帯
- 建設機械による事故
- 一年を通して発生しやすいが、特に冬場の凍結や積雪の影響で機械の操作が困難になる場合が多い
- 一日のうちでは、午前中の9時から11時の間に発生しやすい
- 墜落・転落による事故
- 一年を通して発生しやすいが、特に夏場の暑さや熱中症の影響で作業者の体調が悪くなる場合が多い
- 一日のうちでは、午後の13時から15時の間に発生しやすい
- 崩壊・倒壊による事故
- 一年を通して発生しやすいが、特に雨季や台風の影響で地盤が緩んだり、水分が多くなったりする場合が多い
- 一日のうちでは、午後の15時から17時の間に発生しやすい
これらの時期や時間帯は、工事現場での作業環境や作業者の体力や集中力に影響を与える要因が多くなるため、三大災害が起こりやすくなります。
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