非GPS環境対応!次世代ドローンの飛行テクノロジー 2
非GPS環境対応!次世代ドローンの飛行テクノロジー 2
非GPS環境対応の次世代ドローンの特徴とメリット
① どんな機種か
非GPS環境対応の次世代ドローンとは、GPSの信号がなくても自律的に飛行できる高性能なドローンのことです。慣性航法システムやビジュアルオドメトリ、SLAMなどの技術を組み合わせて、自分の位置や周囲の環境を把握し、最適な飛行ルートを決め、障害物を回避しながら目的地に到達することができます。GPSが使えない場所でもドローンの利用範囲を広げることができるという特徴があります。
具体的な機種としては、以下のようなものがあります。
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Skydio X21:米国のSkydio社が開発した、AIによる自律飛行技術と360度全方位障害物回避機能を搭載したドローンです。非GPS環境や磁界環境下においても安全な飛行が可能で、プラントやインフラ施設、工場などの屋内点検に適しています。また、赤外線カメラやズームカメラなどのペイロードを交換できるため、様々な用途に対応できます。
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ELIOS 32:スイスのFlyability社が開発した、屋内3Dマッピング用LiDARセンサーとSLAMエンジン「FlyAware」を搭載したドローンです。球体状のガードに覆われており、配管やボイラー、煙突などの人が入れない目視外の狭小空間や危険な場所の点検に適しています。飛行中にリアルタイムに高精度な3Dマップを作成し、専用解析ソフト「Inspector 4.0」を使って、施設の破損や異常箇所の位置を3Dマップ上に表示することができます。
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SENSYN ROBOTICS DRONE3:日本のSENSYN ROBOTICS社が開発した、Visual SLAM技術を利用した機体の飛行指示に、BIMや3Dモデルから作成したマップをルート設計に活用できるドローンです。BIMデータを変換して3Dマップ表示することで、高さも含めて視覚的にわかりやすいルートの設定が可能で、屋内外を問わずに自律飛行できます。また、複数のドローンを遠隔で制御し、統合管理するためのベースプラットフォーム「Blue Earth Platform」にも対応しています。
② 機能と性能
機能と性能については、機種によって異なりますが、一般的に以下のようなものがあります。
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高精度なセンサー:高精度な加速度計やジャイロスコープ、カメラやレーザーなどのセンサーを搭載しています。これらのセンサーは、ドローンの位置や姿勢、速度や加速度、周囲の景色や物体などをリアルタイムに測定し、ドローンの飛行制御や3Dマッピングに利用されます。
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自律飛行技術:自律飛行技術とは、ドローンが自分の位置や周囲の環境を認識し、目的地や飛行ルートを自動的に決め、障害物を回避しながら飛行する技術です。自律飛行技術には、慣性航法システムやビジュアルオドメトリ、SLAMなどの技術が用いられます。
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障害物回避機能:障害物回避機能とは、ドローンが周囲の障害物を検知し、自動的に回避する機能です。障害物回避機能には、カメラやレーザーなどのセンサーと、AIによる自律飛行技術が用いられます。障害物回避機能は、非GPS環境でドローンが壁や柱などに衝突するリスクを低減することができます。
③ 価格と購入方法
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価格:機種や仕様によって異なりますが、数百万円から数千万円の範囲で変動します。非GPS環境対応の次世代ドローンは、高度な技術や機能を備えているため、一般的なドローンよりも高価です。しかし、人間が行う点検作業に比べて、時間やコスト、リスクを削減することができるため、長期的にはコスパが高いと言えます。
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購入方法:機種や販売元によって異なりますが、一般的には以下のようなものがあります。
- 直接購入:販売元の公式サイトやショールームなどで、直接ドローンを購入する方法です。この方法は、ドローンの実物を見て確認できたり、カスタマイズやアフターサービスが受けやすいというメリットがありますが、在庫や納期の問題がある場合もあります。
- オンライン購入:販売元の公式サイトやオンラインショップなどで、インターネットを通じてドローンを購入する方法です。この方法は、自宅や職場から簡単に注文できたり、価格やレビューを比較できたりするというメリットがありますが、ドローンの実物を見ることができなかったり、配送や返品に手間がかかったりするというデメリットがあります。
- サブスクリプション:販売元やサービス提供者と定期的な契約を結び、ドローンをレンタルする方法です。この方法は、ドローンの購入費用や保守費用を節約できたり、最新のドローンや機能を利用できたりするというメリットがありますが、ドローンの所有権がなかったり、契約期間や条件に制約があったりするというデメリットがあります。
④ 活用事例と効果
活用事例と効果については、機種や用途によって異なりますが、一般的に以下のようなものがあります。
- インフラ点検:橋梁やダム、発電所などのインフラ施設の点検に活用でき、GPSの信号が届きにくい場所や人が入りにくい場所でも自律的に飛行し、高解像度の画像や3Dマップを作成することができます。これにより、インフラ点検の時間やコスト、リスクを削減するとともに、点検の精度や効率を向上させることができます。例えば、九州電力は、非GPS環境対応の次世代ドローンを活用して、苓北発電所の遠隔での自動・自律巡回飛行の国内初実証を行っています1。
- 災害対応:地震や洪水、火災などの災害対応に活用できます。非GPS環境対応の次世代ドローンは、災害によってGPSの信号が混線したり、破壊されたりした場所でも自律的に飛行し、被災状況の把握や救助活動の支援を行うことができます。これにより、災害対応の時間やコスト、リスクを削減するとともに、救命や復旧の効果を向上させることができます。例えば、Liberawareは、非GPS環境対応の次世代ドローンを活用して、火災現場の煙の中での自律飛行の実証を行いました2。
非GPS環境対応の次世代ドローンを使うために必要なこと
非GPS環境対応の次世代ドローンを使うために必要なことは、機種や用途によって異なりますが、一般的に以下のようなものがあります。
- ドローンの操作技能:自律飛行技術や障害物回避機能を備えていますが、それでも緊急時や特殊な状況では、人間が手動で操作する必要があります。そのため、ドローンの操作技能を身につけることが重要です。ドローンの操作技能は、国土交通省が定める「小型無人機操縦士の技能等に関するガイドライン」1に基づいて、ドローンスクールやオンラインコースなどで学ぶことができます。
- ドローンの法規制:非GPS環境対応の次世代ドローンは、GPSの信号が届かない場所や人が入れない場所でも飛行できますが、それでも日本の航空法や無線法などの法規制に従う必要があります。特に、人口密集地や空港周辺などの飛行禁止区域や高度制限などには注意する必要があります。ドローンの法規制に関する情報は、国土交通省の「ドローン・ラジコン飛行の手引き」2や、経済産業省の「ドローン産業の振興に向けた取組」3などで確認できます。